岩手医科大学血液腫瘍内科

研究について

多発性骨髄腫と成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATL)に関する研究

両疾患ともに極めて難治性の血液悪性腫瘍です。これらの疾患を治すためには新しい病態の解明や新たな治療薬・治療法の開発が必要不可欠です。骨髄腫ではこれまでも多くの新薬の開発に携わってきました。現在、新たな標的抗原に対する抗体薬物複合体やTリンパ球と骨髄腫細胞に同時に結合する二重抗体の開発を目的に国際共同研究に参加しています。また、大学院生とともに、骨髄腫やATL細胞を用いて新しい治療薬の候補となる化合物の抗腫瘍効果や作用機序を明らかにする基礎研究を行っています。「患者さんのためになる研究を」をモットーに、厳しい中にも楽しさを感じることができる研究を続けています。

ローマにて

ローマにて

血小板産生過程と血小板関連疾患の研究

血管は血管内を流れる血小板によりメンテナンスされ、血小板は外傷や手術での出血を止める働きを行っています。通常は、血小板により全身の血管の健全性が保たれていますが、血管内皮細胞の変化や血小板自体の異常により、臨床的には血栓症や止血困難となり、重篤な結果を来すことになります。本研究グループでは、血小板がどこでどのように生まれ、どのように機能を発揮するのか?をコンセプトに研究を行っています。マウスや人の血液細胞を、イメージングやフローサイトメトリーを駆使した研究しています。同時に血小板増多症や血小板減少症の患者さんの臨床に応用する研究を行っています。

巨核球(黄)

巨核球(黄)

血液疾患における免疫細胞の研究

T細胞は感染症(異物)や腫瘍(自己の変質)などの非自己を排除する働きを担っています。非自己を排除する機能が破綻した場合、臨床的には感染症や癌の悪化を来し、重篤な結果となります。本研究グループでは、免疫チェックポイント阻害薬投与後の免疫学的副作用や治療効果と、CD8陽性T細胞の動態について研究を行っています。また急性白血病や同種移植後のCD8陽性Tリンパ球による非自己排除機能の研究を行っています。

敗血症バイオマーカーのプレセプシンに関する研究

敗血症のバイオマーカーでは、顆粒球系細胞の細菌貪食に由来して上昇するプレセプシンが救急医学や集中治療の領域で広く使用されています。一方で血液疾患領域における好中球減少の状況での重症感染症でもプレセプシンのバイオマーカーとしての有用性が確立しつつあります。しかしながら好中球減少状態におけるプレセプシン上昇の機序はよく分かっていない現状です。またプレセプシンは感染症だけでなく同種移植後合併症の予後予測因子として有用である可能性があります。プレセプシンの血液疾患領域における有用性について、基礎的および臨床研究を行なっています。

EHA

EHA